黒豚味噌づくり終了後、楯さん、そしてNPO法人じゃがいものおうち理事を務める相良知恵さんにお話を伺いました。製造現場を拝見してまず私が感じたこと、それが“どの方が障がいがある方なのかがよくわからない”でした。
この日は15名ほどが黒豚味噌製造に携わっていました。あとで聞いたところそのうちの3分の1が地域の方、残る3分の2が施設の利用者さんだったそうです。(お肉を切っている途中に増員した方のほとんどが施設の利用者さんでした。)
施設の利用者さんには身体の障がいがある方もいれば、知的障がい、精神障がいがある方もいます。この日も知的障がいと精神障がいがある方が作業に従事していたそうですが、製造中の様子を見ていても、休憩中に皆さんとお話ししていても、何が障がいなのかわかる人はいませんでした。
「私も誰にどんな障がいがあるのか、はっきりとはわかっていません。一緒にかかわっていく中で、”この人はこれが得意でこっちは少し苦手”、”これに対してはこんな反応をするなあ”という発見をします。
そして、それを”個性”と判断するのか”障がい”と判断するのかがとても難しいところです。得手不得手は誰にでもありますからね。ただ、自分の子どもが同じことをしたら叱ることに対しては、利用者さんに対してもきちんと伝えるようにしています。」と相良さんは言います。
二人は「みんなの個性が活かされる場でありたい」と願いながら、どうしたらそれが実現できるのか、どうやって彼らと社会とをつなげられるかを考えています。
「商品づくりに関しては特に”障がいだから仕方ない”とはいきませんので、私も時に厳しく利用者さんに伝えることもあります。我々はちゃんと商品として世にモノを送り出していますからね。
でも、あれこれただ言うだけではだめ。
1度言って伝わらなかったら、言い方を変えてみたり、やり方を変えてみたり、繰り返し伝えたり。
それでもできないことがあったら、ちゃんと彼らができるように私たちがアイテムをつくるんです。」
こちらの包丁を使った作業も一見変わった様子はないですが、よく見ると木のへらのようなものを使っている方がいます。
「あれを使えば、お肉と一緒にビニール手袋を切ってしまうこともない。商品にビニール手袋の破片が入ってしまう心配もない。こうやって、アイテムを作って本人たちができることを増やしてあげることは、私たちの役目であり、彼らにとってもすごく重要です。
あとは、ちゃんと個性が収まる仕事に就かせてあげること。例えば、今日の瓶詰の作業も細かい作業ができる方には最後の瓶の縁を拭く作業をお願いしています。そういうのが苦手な方には途中の瓶をトントンする作業をお願いする。ただ瓶をトントンする作業に見えるかもしれませんが、あれも瓶詰をする際には無くてはならない大切な工程です。
そうやって、みんなが関わり、みんなで作り上げていくことは彼ら1人1人の自信にもつながります。
ですから、みんなが自分の仕事に自信を持って取り組めるように分担を考えています。」
そういえば、製造作業が進む中ふと窓の方に目をやると、使い終わった食器器具をひたすら洗う姿も。この片付けという作業も黒豚味噌づくりをスムーズに進めるには重要なお仕事です。不要になったものはどんどん洗う!見ていてなんだか気持ちがいいほどでした。
そこには誰一人、不要とされる人はいない。障がいがある人もない人も、皆がそれぞれにできることをする。互いが協力し“共生”する世界の一角を、黒豚味噌づくりの現場で見せていただいたような気がします。
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